心配性

心配しすぎてしんどい、
心配し過ぎるのは
ただの心配性?

心配しすぎてしんどい、心配し過ぎるのはただの心配性?物事について考えるとき、「心配し過ぎ」だと自分で感じることや、人から言われることは、実は多くの人が経験しています。いわゆる「心配性」というものですね。
誰でも、自分の未来は良いものであってほしいと願っています。しかし、当然ながらうまくいかないこともあるわけです。過去にうまくいったことと、うまくいかなかったことがあるからこそ、「うまくいくかな」「大丈夫かな」と心配してしまうのです。うまくいかないケースをイメージして、事前に準備ができ、それが成功につながることも少なくありません。つまり、「心配する」ということは、決して悪いことではありません。
しかし、その心配が過度になり、ほとんど起こり得ないことを想像してしまい、心配が常に頭から離れない状態が続いて社会生活・日常生活に支障をきたしている場合には、注意が必要です。「心配性」の範囲を超え、何らかの病気になっている可能性も疑われます。

心配性でも度を超えた
不安や心配は
病気の可能性も…

物事の成功のために必要な心配や、心配はするけれどすぐに忘れられるという場合には、単なる「心配性」で済みます。
しかし、度を越えた心配性で日常生活に支障をきたしている場合には、以下のような病気の可能性も疑わねばなりません。

不安神経症(全般性不安障害)

日常生活の中で強い心の不安が生まれ、さまざまな心身の症状が続き、日常生活に支障をきたしている状態です。
心気症、強迫性障害、パニック障害、抑うつ神経症、ヒステリー性神経症、などに分類され、それぞれ病態には違いがあります。

心気症

がんや心臓病など、自分が重大な疾患であるという思い込みが生じる病態です。その罹患について周囲に訴えたり、抑うつ・不安などの症状を伴ったりすることがあります。また、医師などの専門家によって「その病気ではない」と説明を受けても納得できず、次第に日常生活に支障をきたすようになります。うつ病を合併することもあります。
心気症は、不安神経症のうちの1つです。

強迫性障害

手が汚れているという強い不安(強迫観念)におそわれ、その不安を解消するために何十回も手を洗う(強迫行為)といったことを繰り返してしまいます。
鍵を締め忘れた気がして帰宅し、待ち合わせに遅刻する、自分が誰かに危害を加えたという思い込みからニュースをチェックする、自分が決めた手順を守らないとおそろしいことが起こると思い込むといったような例も見られます。

社交不安障害(社会不安障害)

人前に立つときなどに、自分がどのように見られるかが極度に心配になり、身体症状が現れたり、人前に立つことが困難になったりする病気です。
例としては、プレゼンのために人前に立った時に赤面・震え・動悸・吐き気などの症状が出るようなケースが挙げられます。多数人の面前とは限らず、少数や1人の前でも起こり得ます。

パニック障害

身体的疾患がないにもかかわらず、突然の動悸・呼吸困難・めまいなどの症状を伴う発作が起こり、その発作への不安から行動に制限が生じる病気です。行動の制限とは、電車に乗れない、会議に出られない・出社できないといったものから、外出さえ困難になるものまでさまざまです。

心配性の治し方・
克服するには?

過度でなくても、心配性にお悩みの方は少なくありません。心配性は気質であり「こうすれば楽観的になれる」という簡単な方法がないためです。
しかし、少しずつであっても以下のようなことに取り組むことで、心配性であることに悩まないようになる、あるいは心配性の程度を軽減するということが可能です。

人に頼ってみる・相談する

心配性の人は、仕事などの課題・悩みを独りで抱えがちです。そして、まわりがそのことに気づいていないほど、心配している自分が浮き彫りになり、さらに心配になるのです。
まわりと心配を共有するという意味でも、また課題・悩みを協力して解決に向かわせるためにも、人を頼ってみる、相談するといったことが有効です。仲間と一緒に成功体験を積むことで、次に同じような課題・悩みに直面した時の不安も小さくなります。

成功のイメージを持つ

心配性の人は、失敗した場合のことを繰り返し考え、実際以上に心配を大きくしてしまいます。一方で、成功した場合のことについてはあまり考えません。
「成功したらこれをやってみよう」「まわりから褒められるだろう」といった具体的な成功のイメージを持つこと、「必ず成功する」といった自己暗示を行うことで、相対的に心配を小さくできます。
声に出したり、書き出したりするのも有効です。

心配事を明確にし、1つずつ減らしていく

心配事がたくさんあり、「何から手をつけていいのか分からない」という場合には、心配事を紙に書き出すなどして、全体を把握しましょう。これだけで、頭が少しスッキリすることがあります。
そして、優先順位をつけて心配事を1つ1つ解決していきましょう。できれば、簡単に解決できるものから手をつけていくと良いでしょう。

心配している理由を改めて考えてみる

心配が漠然としている場合には、「なぜ自分が心配しているのか」ということを改めて考えてみましょう。意外と簡単な解決法が見つかったり、そもそも心配するようなことでもなかったりすることも少なくありません。
信頼できる人に助言をもらうのも良いでしょう。

心配する自分を受容し、準備する

「心配だけれど自分ではどうしようもない」ということもありますね。そういった問題については、心配してしまう自分を受け入れ、その心配事が表面化した場合に向けて準備をしましょう。
たとえば災害が心配な場合には、防災グッズを揃えたり、家族と万が一の場合の待ち合わせ場所を決めて置いたりといった準備が考えられます。準備をしておくことで、心配が軽減されます。

深呼吸をする・趣味に没頭する

心配事が重なるなどして頭が混乱したり、何をしていいのか分からなかったりという時には、一度深呼吸をして心を落ち着かせましょう。不安によって緊張を強いられると、ついつい呼吸が浅くなっています。
また、趣味などに没頭するのも一つの手段です。一時的であっても心配事を忘れることができれば、物事を落ち着いて観察できるようになることがあります。

インターネットから離れる

パソコンやスマホが近くにあると、ついついその心配事についてインターネット上の情報を調べてしまいます 。もちろんインターネット上にはポジティブな情報もありますが、心配性の人の記憶に残るのはネガティブな情報であり、より心配は大きくなります。
一時的にインターネットから離れることで、ネガティブな情報の量を強制的に減らすことができます。

過度な心配性で
お悩みの方は
当院までご相談ください

冒頭で申し上げた通り、「心配する」のは悪いことではありません。心配することがリスクヘッジとなり、成功につながることも少なくありません。そのため、多少自分が心配症であったとしても、無理にその気質を変える必要はないでしょう。もちろん、心配性な自分を変えたいという気持ちがあれば、それもまた良い選択となります。
しかし、度を過ぎた心配性で日常生活に支障をきたしている、心身に症状が現れており苦痛だがどうしたらいいのか分からないという場合には、一度当院にご相談ください。
心の病気という可能性も考慮しながら診断し、必要な治療・サポートを提供いたします。