ストレス

心や体に
負荷がかかるストレス

心や体に負荷がかかるストレス「ストレス」は外来語として、日常生活でも頻繁に使われる言葉ですね。
医療における広い意味としては、「外部からのさまざまな刺激によって、心や体にかかる負荷」と定義づけられます。

ストレスとうまく付き合うことが大切

ストレスは、さまざまな疾患との関連があります。そのため、一般に「ストレスはできるだけ少ない方がいい」と考えられていますが、実は適度なストレスは私たちにむしろ良い影響を与えるのです。またそもそも、ストレスを完全にゼロにすることはできません。
目標に向かって勉強する時の緊張感、健康のためにトレーニングをする時の疲労も、「ストレス」となります。そしてその程度が適度であれば、交感神経を目覚めさせたり、判断力・行動力を高めたりといった作用が期待できます。
一方で、ストレスを解消せずに放置したり、ただただ不快感・疲労だけを残すストレスを受けたりすると、心身に悪影響を及ぼすことがあります。

ストレスの原因は?

先述の通り、ストレスは「外部からのさまざまな刺激によって、心や体にかかる負荷」と定義づけられます。
ではその「外部からのさまざまな刺激」とは、具体的にどのようなものがあるのか、ご紹介します。

人間関係

誰かと接すれば、そこには人間関係が生まれます。問題になりやすいのは、日常的に、ある程度同じ時間を共にする人との人間関係です。
人間関係がうまくいけばストレス解消にも一役買う一方で、うまくいかない場合には、ストレスとなる可能性があります。

仕事

職場では、そこにいる人たちとの人間関係だけでなく、仕事の成績、会社や上司からの評価、責任など、ストレスとなり得る因子がたくさんあります。
また、休日が少ない・残業が多いといったことも、ストレスとなります。

睡眠

何らかの原因によって睡眠が不足すると、心身にストレスがかかり疲弊します。日中の活動に影響を及ぼし、そのことがまたストレスを引き起こすということもあります。

健康

健康が損なわれたり、その治療が辛かったりすると、ストレスも大きくなります。大切な家族が重大な病気などで健康を損なわれた時も、その心配や看護・介護から大きなストレスを抱えることがあります。

経済事情

経済的な問題を抱えている場合、お金の工面や将来への心配から、ストレスが大きくなることがあります。
自分ではない家族の問題によって困窮している場合も同様です。

ストレスが溜まると
起こる症状

精神的症状

  • ストレスが溜まると起こる症状憂うつ、気分の落ち込み
  • イライラ、怒りっぽい
  • やる気が出ない
  • 集中力低下、注意散漫
  • 興味、関心の低下
  • わけもなく悲しくなる
  • 物ごとを悪い方へ悪い方へと考える
  • 何も考えられない、考えたくない
  • 自分を責める、無価値だと感じる
  • 消えてしまいたいと思う

過度なストレスを抱えると、上記のような症状が見られます。「ストレスが溜まってイライラする」ということは誰でも経験があるかと思いますが、その状態が続く、繰り返される場合には注意が必要です。

身体的症状

  • ストレスが溜まると起こる症状眠れない、寝たのにすっきりしない
  • 過眠
  • 疲労感、倦怠感
  • 食欲不振、暴飲暴食
  • 頭痛
  • めまい、耳鳴り
  • 肩こり、腰痛
  • 動悸、息切れ
  • 腹痛
  • 下痢、便秘
  • わけもなく涙が出る、止まらない

上記のように、精神症状だけでなく身体症状もストレスによって引き起こされることがあります。ストレスの解消法としてお酒を飲む方は少なくありませんが、過度な飲酒は健康への悪影響、そしてさらなるストレスへとつながるおそれがあります。

ストレスから
起こる病気

ストレスが原因の1つとなる病気を、心療内科・精神科で取り扱う病気を中心にご紹介します。

うつ病

憂うつ、無関心、やる気が出ない、疲労感・倦怠感など、さまざまな心身の症状を伴う病気です。
はっきりとした原因は解明されていませんが、ストレスがその発症に影響することがあると考えられています。

自律神経失調症

自律神経のバランスが崩れ、憂うつ、やる気が出ない、興味・関心の低下、疲労感・倦怠感、めまい、耳鳴りなど、さまざまな心身の症状が引き起こされている状態を指します。
ストレス以外の原因としては、不規則な生活、睡眠不足、女性ホルモン・甲状腺ホルモンのバランスの乱れなどが挙げられます。

適応障害

ストレスなどを原因とし、自分のいる環境(職場・学校・家庭など)への適応がうまくいかず、日常生活への支障をきたしている状態です。
焦燥感、不安、イライラ、食欲不振・過食などの症状を伴います。

アルコール依存症

長期にわたる飲酒によって、アルコールなしでは気分転換ができないほど依存してしまった状態です。気分転換のためにさらなる飲酒を求め、社会生活を正常に営むことが困難になります。
※専門医療機関を受診してください。

摂食障害

食べた物を意図的に吐く・下剤や利尿剤を使うなどして体型の維持やさらなる減量を図る「拒食症」、短期間で大量の食べ物を食べてしまう「過食症」に大別されます。
いずれも、ストレスを主な原因とします。
※専門医療機関を受診してください。

蕁麻疹

突然、強いかゆみを伴う発疹が出現し、地図のような不規則な形で広がります。多くの場合、数時間以内に消失します。再発したり、慢性化したりといったケースも見られます。
ウイルス感染やアレルギーの他、ストレスも原因になることがあります。

突発性難聴

ある時突然、多くは片側の耳の聞こえが低下します。耳鳴りやめまいなどの症状を伴うことも少なくありません。
はっきりとした原因は解明されていないものの、ストレスがその発症に影響しているものと考えられます。
早期に治療を開始することが予後を大きく左右するため、症状に気づいた時には様子を見ず、すぐに耳鼻科等の専門医療機関を受診してください。

急性胃腸炎

多くはウイルス・細菌などへの感染を原因としますが、薬の副作用、アレルギー、ストレスによって引き起こされることがあります。
急な腹痛、激しい下痢・嘔吐、発熱などの症状が見られます。内科や消化器内科への受診が必要です。

過敏性腸症候群

ストレス、過労などを原因として腸の働きが低下し、便秘や下痢などの症状をきたします。
便秘と下痢が交互に繰り返されることもあります。

ストレス発散方法
~ストレスと上手く
付き合うために~

過度なストレスは心身へと悪影響を与える一方で、ストレスをまったく感じずに生きていくことはできません。
つまり、ストレスは溜まる前に解消し、上手く付き合っていくことが大切になります。
ここでご紹介する以外にも、さまざまな方法でストレスは解消できます。色んな方法を試してみて、ご自分に合ったストレス解消法を見つけておきましょう。

睡眠の質の改善

寝る時間・起きる時間が不規則、睡眠時間が足りていない、あるいは寝室の環境が良くないといったことはありませんか?
疲れた時にぐっすり眠ることも大切ですが、予め睡眠の質を改善しておくことで、疲れやストレスが溜まりにくくなります。
就寝・起床時間をできるだけ一定にする、寝室の環境(明るさ・温度・湿度)を見直す、就寝前のテレビ・スマホの利用を控える、日中に活発に活動する・運動をするといたことで、睡眠の質を改善できます。

バランスの良い食事

バランスの良い食事は、心身の健康には欠かせません。特に、ビタミン、ミネラル、アミノ酸など、不足しがちな栄養素をしっかりと摂りましょう。
暴飲暴食や栄養の偏りは避けるべきですが、ストレスを解消するためには「好きなものを食べる」のも有効です。

適度な運動を取り入れる

適度な運動は、絶好のストレス解消法です。特に種類は問いませんが、楽しみながら、かつ続けられる運動がおすすめです。大人になると「新しい運動を始める」ことに抵抗を感じる人もいますが、お友達と一緒に始めたり、運動後にランチをしたりといったことで、趣味の一環として取り組むことができます。
ただし、急な激しい運動は、ケガの原因となるため十分に注意してください。

人を頼る・相談する

ストレスの溜まりやすい人の性格として、完璧主義、真面目といったものが挙げられます。こういった人は、人に頼み事ができなかったり、独りで悩みを抱え込んだりしがちです。
仕事や悩みを1人で抱え込まず、時には人を頼りましょう。悩み事も、話すだけでスッキリとすることがあります。

深呼吸をする・横になって目を閉じる

手軽にできるストレス解消法です。緊張をしている時は、呼吸が浅くなりがちです。背筋を伸ばし、ゆっくりと深呼吸をしましょう。深呼吸には、緊張や不安を和らげる効果があります。
自宅などでは、横になって目を閉じて、何も考えない、瞑想する時間をつくるのもおすすめです。

ストレスによる心身状態
が良くならない場合には
当院までご相談ください

ストレスが溜まってイライラするからといって、すぐに何らかの病気であるというわけではありません。
しかし、ストレスはさまざまな心身の症状を引き起こすことがあり、うつ病や自律神経失調症、適応障害になってしまう方も少なくありません。
ストレスが原因と思われる心身の症状が続いている、ストレスが溜まっていく一方で辛いという場合には、お早めに、またお気軽に当院までご相談ください。