- 心身ともにさまざまな症状が現れる自律神経失調症
- 自律神経失調症の原因は?
- 自律神経失調症セルフチェック
- 自律神経失調症になりやすい人
- 自律神経失調症の診断基準
- 自律神経失調症とうつ病の違いは?
- 自律神経失調症の治し方
心身ともに
さまざまな症状が
現れる自律神経失調症
自律神経失調症とは、自律神経のバランスが崩れることで、心身にさまざまな症状をきたす状態を指します。病名ではありません。
軽度のうつ病、不安神経症、気分障害の症状の一部として認められることがあります。
自律神経失調症の原因は?
自律神経失調症は、不規則な生活、ストレス、睡眠不足、女性ホルモン、甲状腺ホルモンの乱れなどによって自律神経のバランスが崩れることで発症します。
自律神経失調症
セルフチェック
- 頭痛、めまい、立ちくらみ、動悸などがしばしば起こる
- 急に胸が苦しくなる、息苦しくなることがある
- 便秘、下痢、腹痛がよく起こる・続いている
- 手足のしびれを感じることがある
- 胸やけ、胃もたれなどによる食欲不振
- 慢性的な肩こり、腰痛がある
- よく寝ているのに疲労感や倦怠感が抜けない
- わけもなく憂うつな気分になり落ち込んでしまうことがある
- 些細なことでイライラする、落ち着かない
- 悪夢や金縛りが頻繁にある
上記の項目のうち、3つ以上に該当する場合には、一度当院にご相談ください。
身体的症状
身体的な症状としては、以下のようなものがあります。
- 疲労感、倦怠感
- めまい、耳鳴り
- 慢性的な肩こり、腰痛
- 頭痛
- 動悸、息切れ
- 下痢、便秘、腹痛
- 吐き気
- しびれ
- 火照り、多汗
- 頻尿、残尿感
精神的症状
精神的な症状としては、以下のようなものがあります。
- 憂うつ、気分の落ち込み
- やる気が出ない
- 興味、関心の低下
- 不安感、焦燥感
- イライラ
自律神経失調症に
なりやすい人
自律神経失調症の原因の1つに、ストレスがあります。以下に該当する方は、ストレスを大きく感じやすいため、そうでない人と比べると自律神経失調症になりやすいと言えます。
- 真面目な人
- 几帳面な人
- 責任感の強い人
- 仕事、悩みなどを独りで抱え込んでしまう人
- 内向的な人
また、自律神経失調症の方は、冷え性、低血圧、虚弱体質のある人、痩せている人の割合がやや高くなります。体調に対する不安がストレスになったり、それらの症状そのものがストレスになっていることも考えられます。
自律神経失調症の診断基準
自律神経失調症は、「さまざまな自律神経系の不定愁訴を有し、一方で臨床検査では器質的病変が認められず、かつ顕著な精神障害のないもの」と定義されています。
つまり、以下の3点を満たす場合に自律神経失調症と診断するということです。
- さまざまな自律神経症状が認められる
- 検査で身体疾患が認められない
- 明らかな精神障害が認められない
なお、自律神経失調症と関連の深い疾患としては、以下のようなものが挙げられます。
- 高血圧、狭心症、不整脈、狭心症、心筋梗塞
- 喘息、COPD、換気性症候群
- 胃・十二指腸潰瘍、過敏性症候群、機能性ディスペプシア、慢性胃炎
- 糖尿病、脂質異常症、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
- 関節リウマチ
- 過活動膀胱、夜尿症、勃起不全
- アトピー性皮膚炎、慢性蕁麻疹
- 顎関節症
- 摂食障害、睡眠障害
自律神経失調症と
うつ病の違いは?
自律神経失調症は「病気」ではなく、自律神経のバランスが崩れることで、心身にさまざまな症状をきたす「状態」を指します。そういった意味から、「病気」であるうつ病とは明確に異なります。
しかし、うつ病の方に自律神経失調症が認められたり、自律神経失調症の方がうつ病を発症したりといったことはあります。
自律神経失調症の治し方
自律神経失調症の治療では、生活習慣の改善、ストレスの解消などに取り組みながら、ゆっくりと休むことが大切になります。
必要に応じて、薬物療法を導入します。
ストレスの解消
原因の1つであるストレスを解消します。趣味や散歩、体操、入浴、ストレッチなど、手軽に取り組めるストレス解消法を見つけましょう。
仕事がストレスになっている場合には、休職や配置転換(業務内容や勤務地などを変更)などが必要になることもあります。
生活習慣の改善
まず、できるだけ規則正しい生活リズムを取り戻します。交感神経が優位になる日中には可能な範囲で活発に動き、副交感神経が優位となる夕方以降はゆっくりと過ごすのが基本です。
もちろん、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠も大切です。
薬物療法
症状に応じて、抗うつ薬、睡眠薬などを処方します。
また当院では、漢方の処方も行っております。
精神療法
主に、認知行動療法を行います。患者さまの認知の歪みを明確化・自覚し、症状の改善を図ります。
具体的には、まずどのような時に症状が現れるかを医師と話しながら振り返ります。そして、実際にその状況に置かれた時の症状を確認し、「状況と症状に必ずしも因果関係はない」という認知を共有します。これを繰り返すことで、その状況に置かれた時の症状の軽減を図ります。